免疫力、自然治癒力の向上につながるオゾン療法
オゾン療法とは、オゾンガスを用いた様々な治療方法の総称です。この治療方法は日本では余り知られていないですが、ドイツ・イギリスでは30~40年の歴史があります。高齢期のケアや下痢嘔吐、食欲不振などの胃腸疾患、皮膚炎、外耳炎、歯肉炎、アレルギーなどの炎症性疾患や椎間板ヘルニアに対してその有効性が示されています。副作用はほとんど認められない安全な手技です。
投与方法としては
①直腸注入法——注腸法は最も古いオゾンの全身療法のひとつです。シリンジを用いて濃度10~20ug/mlのオゾンを10~50ml直腸に注入します。小動物臨床では安全で実施が容易なためもっとも用いられています。
②腹腔内注入法——投与する濃度や容量は注腸法と同じですが、腹腔内に投与する方が吸収が容易でさらなる効果が期待されています。
③大量自家血療法——濃度10~20mg/mlのオゾンと等量の血液を混和させ、静脈を介して体に点滴投与する方法です。がん患者の補助療法として用いられ、免疫力が活性化することが知られています。
④少量自家血療法——少量の自己血液2~3ccをオゾンと混和浸透させてから皮下、筋肉に直接注射する方法です。抗原を外部から注入するという意味では一種の免疫療法とも言えます。特にアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に適応されます。
⑤局所療法——5~6mg/mlの低用量オゾンを局所の皮下に1~2ccずつ注射する方法です。関節・筋肉疾患、特に椎間板ヘルニアに適応されます。
⑥オゾン化オリーブ油——オリーブ油にオゾンガスを溶解させて得られる白色ワセリン様物質のことです。冷蔵保存していないと効果が激減するので注意が必要です。抗菌・抗真菌・抗ウイルス作用、消炎鎮痛作用があり、コラーゲン線維や線維芽細胞を増加させ、創傷治癒を促進します。外傷・感染症・歯肉炎・角膜潰瘍・ドライアイなどに適応されます。特に老犬の褥瘡(床ずれ)には効果抜群です。
⑦オゾン水——オゾンを溶かした溶解水のことで血管内投与・経口投与など色々な投与方法がありますが、細菌性膀胱炎に対する膀胱洗浄、外耳道洗浄などで有効性が示されています。腫瘍に対してオゾン溶解水を局所投与し効果が確認されたケースもあります。
当院での実施例